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オスが妊娠?タツノオトシゴ



竜のように見える顔、ぷっくり膨らんだお腹、くるんと丸まった尾。およそ魚とは思えない奇妙な体を持つタツノオトシゴは、暖かい海域に棲む、れっきとした海水魚です。奇妙なのは外見だけでなく、生態の中にも不思議がいっぱい詰まっているようで、なんと「オスが子どもを産む!?」というのですが、本当でしょうか? タツノオトシゴの生態と独特の繁殖方法について探ってみましょう。

泳ぎは下手でも、補食はスピーディー

泳ぎは下手でも、補食はスピーディー

タツノオトシゴは、内湾や岩礁域、海藻がよく繁茂した藻場に生息しています。泳ぎは苦手で、短くて薄い背びれを微妙に動かしながら立って泳ぎますが、たいていは流されないように長い尾を海藻やサンゴに巻き付けて暮らしています。日本各地に生息していますが、色彩も形も海藻に擬態するので、見付けるのは難しいようです。また動きは遅いのに、補食のスピードはとても早いというのも、タツノオトシゴならではのユーモラスな個性です。餌となる小魚や甲殻類など小型の動物プランクトンを見つけると、すぐに長い口先を近づけて、瞬間的に吸い込みます。また、見かけによらず獰猛な一面もあり、細長い口を通るか通らないかの大きなサイズの餌にも果敢にアタックして、激しい吸引音を立てながら食べてしまいます。

オスが妊娠&出産?!

オスが妊娠&出産?!

魚の生態としては、卵を産みっぱなしにするのが普通ですが、中には岩などに産みつけて守ったり、鳥のように巣を作って守るものもいます。タツノオトシゴはというと、オスがお腹にある"育児のう"と呼ばれる袋に卵を入れ、稚魚になるまで保護します。そして出産の時期を迎えると、育児のうから稚魚を産み出すのです。タツノオトシゴの繁殖行動は、以下のように行なわれます。

①求愛
オスがメスの気を引こうと、育児のうを大きく膨らませます。そしてオスはメスを盛んに追いかけ、互いに尾を絡ませ、ゆっくりと泳ぎます。
②産卵
雌雄そろって上がったり下がったりしながら、オスは育児のうの口を開き、メスはそこに輸卵管を素早く差し込んで産卵。この時、同時に育児のうの中で受精も行なわれます。この動作を繰り返し、育児のうの中は数十個の卵でいっぱいになります。
③出産
卵は、孵化するまでの間、育児のうに収まっていますが、2~3週間でオスが稚魚を産みます。出産では体を前後にかがめて陣痛をイメージさせるような行動を示し、孵化した稚魚を育児のうから産出します。オスが産みの苦しみを味わう珍しい例です。

稚魚でも既に大人同様の体形と暮らしぶり

稚魚でも既に大人同様の体形と暮らしぶり

産まれたばかりの稚魚は全長数ミリほどの小さな体ですが、体形は既に親とほぼ同じ形をしています。尾を海藻に巻きつけたり、敵が来ると海藻に隠れて難を逃れるなど、護身の術も身に付けています。タツノオトシゴは、その外見から水族館でもよく見かける存在で、観賞魚としても人気ですが、生きた餌でないとほとんど食べないので、飼育・繁殖は容易ではありません。それでも見たくなるのは、個性的な外見&生態と、干支にもなるほど日本人と馴染みが深い魚だからかもしれません。